「消防設備士、取れば食いっぱぐれないって聞いたんだけど、本当?」
正直に言うと、半分本当で、半分は嘘だ。
俺は今30代前半で、異業種から消防設備士(甲種4類)を取って、点検・工事の仕事を3年やってる。同じ会社には未経験で入ってきた40代の人もいるし、逆に1年で辞めていった20代もいる。
この記事を読んでるあなたは、たぶんこんな不安を抱えてるんじゃないか。
「30代で未経験だけど、今から取っても間に合う?」
「資格さえあれば転職余裕って聞くけど、現場ってそんな甘くないよな…」
「体力仕事ってマジ? デスクワーク経験しかないんだけど」
分かる。俺も取る前は同じこと考えてた。
資格スクールのサイトには「需要安定!」「独占業務で安心!」って書いてあるけど、実際に働いてみると、そんな綺麗な話じゃなかった。
ただ、後悔してるかって言われたら、してない。この資格を武器にして、それなりに食えてる。
この記事では、消防設備士を取ろうか迷ってるあなたに、現場で3年働いた俺が感じた「リアル」を全部書く。夢物語じゃなく、デメリットも含めて、正直に。
最後まで読んで、自分に合ってるか冷静に判断してほしい。
消防設備士って何やる仕事?(現場のリアル)
まず前提として、消防設備士が何をやるのか、教科書じゃなくて現場目線で説明する。
甲種と乙種の違いは、工事ができるかどうか。甲種は設置工事から点検まで全部できるけど、乙種は点検と整備だけ。だから転職市場では圧倒的に甲種が有利。乙種だけだと、正直「点検員」止まりになることが多い。
俺が持ってる甲種4類は、自動火災報知設備を扱える資格。ビルやマンション、商業施設に必ずある、火災を感知して警報を鳴らすやつだ。他にも1類(スプリンクラー)、2類(泡消火設備)、3類(不活性ガス消火設備)、5類(避難設備)がある。
1日の流れはこんな感じ。
朝8時に会社集合。その日の現場(ビル・工場・病院など)に車で移動。午前中に点検作業をして、昼休憩。午後も別の現場を回って、夕方会社に戻って報告書作成。18時〜19時に終わることが多い。
点検作業ってのは、地味だ。感知器が正常に動くかテストしたり、配線をチェックしたり、受信機の動作を確認したり。天井裏に潜ることもあるし、屋上に登ることもある。
正直きついのは、体力仕事だってこと。
脚立を持って階段を何往復もするし、重い機材を運ぶし、夏は屋上作業で汗だくになる。俺は前職が営業だったから、最初の3ヶ月は筋肉痛が取れなかった。
「資格があれば楽に稼げる」と思ってるなら、それは幻想だ。
俺が消防設備士を取った理由と、取ってから気づいたこと
俺がこの資格を取ったのは、前の会社(IT系の営業)が嫌になったから。
毎日ノルマに追われて、数字が上がらないと詰められて、「もうこんな仕事やってらんねえ」と思ってた。で、ネットで「安定して稼げる資格」を調べまくって、消防設備士にたどり着いた。
決め手は3つ。
- 業務独占資格で、需要が安定してる(ビルがある限り仕事がある)
- 学歴不問で、実務経験がなくても受験できる類もある
- 独立開業も視野に入る
希望に燃えて勉強を始めて、半年かけて甲種4類を取得。転職活動して、今の会社に入った。
で、入ってから気づいたこと。
資格はあくまでスタートラインで、実務ができるかは別問題だってこと。
試験は筆記と実技(鑑別)だけど、現場では「この設備、メーカーどこ?型番は?どう配線されてる?」って瞬時に判断しないといけない。教科書に載ってない古い設備もバンバン出てくる。
最初の半年は、先輩についてまわって、ひたすら見て覚える日々。正直、「資格取ったのに、こんなに分からないのか…」って落ち込んだ。
もう一つ気づいたのは、コミュ力が意外と必要だってこと。
点検に行くと、ビルの管理人や施設の担当者と話す。「今日はどこを点検しますか?」「この不具合、いつから出てますか?」って聞かないと仕事が進まない。
しかも、クレーム対応もある。「点検のせいで警報が誤作動した」とか言われることもあるし、説明が下手だと信頼されない。
俺は営業やってたからまだマシだったけど、黙々と作業したい人には結構しんどいと思う。
よくある勘違い:「資格取れば即高収入」は嘘
ここで、消防設備士に対するよくある勘違いを正直にぶっちゃける。
勘違い①:資格取ったら年収500万は余裕
嘘。少なくとも最初の数年は無理。
俺の1年目の年収は350万だった。月給25万に、残業代と資格手当(月5,000円)を足してこれ。東京近郊の会社だから、地方ならもっと低い可能性がある。
3年目の今は、昇給と経験を評価されて年収420万くらい。悪くはないけど、「資格があれば一発逆転!」みたいな金額じゃない。
同じ業界の先輩に聞いたら、10年選手でも年収600万届かない人もいる。独立して稼いでる人もいるけど、それは営業力と人脈があっての話。
勘違い②:資格さえあれば未経験でも即採用
半分本当で、半分嘘。
確かに消防設備士は人手不足だから、未経験でも採用されやすい。でも、会社は選ぶ。
大手のメンテナンス会社は、未経験だと給料が低いか、契約社員スタートが多い。中小企業は即戦力を求めてることもある。
俺が転職活動したときは、10社応募して、書類通過が6社、面接したのが4社、内定が2社だった。「資格あれば楽勝」ってわけじゃなかった。
勘違い③:デスクワーク中心で楽な仕事
これは完全に嘘。
現場作業が9割。報告書作成はあるけど、基本的に体を動かす仕事。
真夏の屋上で汗だくになるし、真冬の地下で凍えるし、狭い天井裏に潜るし、高所作業もある。
俺の会社には、元事務職の女性もいるけど、「想像してたよりキツい」ってよくボヤいてる。
勘違い④:一度取れば一生安泰
これも微妙。
確かに消防設備は法律で義務付けられてるから、需要自体はなくならない。でも、業界全体が薄利多売になってて、価格競争が激しい。
特に点検業務は、安い会社にどんどん流れる。「安かろう悪かろう」でも、発注者にはそこまで見えないから。
だから、資格だけ持ってても、会社が潰れたり、給料が上がらなかったりするリスクはある。
この資格が「稼げる人」と「稼げない人」
じゃあ、消防設備士で実際に稼げてる人と、稼げてない人って、何が違うのか。
3年間現場で見てきた経験から、正直に書く。
稼げてる人の特徴
まず、複数の類を持ってる人。甲種4類だけじゃなくて、1類(スプリンクラー)や5類(避難設備)も持ってると、仕事の幅が広がる。会社からの評価も上がるし、資格手当も増える。
俺の先輩は甲種1・4・5類を持ってて、月の資格手当が合計2万円。年間24万の差はデカい。
次に、電気工事士も持ってる人。消防設備と電気工事はセットで発注されることが多いから、両方できると重宝される。独立するなら、ほぼ必須。
それから、営業ができる人。点検だけじゃなくて、「こことここも改修しませんか?」って提案できる人は、会社の売上に貢献するから給料が上がりやすい。
最後に、独立志向がある人。雇われだと年収の上限が見えてるけど、独立して自分で仕事を取れれば年収800万〜1000万も狙える。ただし、営業力と資金と人脈が必要。
稼げてない人の特徴
逆に、資格だけ取って現場経験が浅い人は、給料が上がりにくい。
消防設備の仕事は、経験がモノを言う。同じ点検でも、ベテランは1時間で終わるのに、新人は3時間かかる。効率が悪いと、会社からの評価も上がらない。
体力的にキツくて続かない人も多い。40代・50代で未経験から始めて、腰を痛めたり、高所作業が怖くて辞めたりするケースを何人も見た。
それから、コミュニケーションが苦手な人。現場では、管理人や施設担当者と円滑にやり取りできないと、トラブルになる。クレーム対応も必要だから、対人スキルがないと厳しい。
最後に、勉強をやめた人。消防設備は法改正や新しい設備が出てくるから、勉強し続けないとついていけない。「資格取ったから終わり」って思ってる人は、数年で頭打ちになる。
年齢・体力・コミュ力の現実
正直、30代までなら未経験でもギリギリいけると思う。俺も30代で入ったし、同期にも同世代がいた。
40代だと、体力的に厳しい現場もある。重い機材を運んだり、脚立の上り下りを繰り返したりするのは、若い頃とは違う。
50代以上だと、現場作業よりも管理や営業に回ることが多い。体力勝負の仕事は、正直若手に任せる流れになる。
コミュ力については、別に「営業トークができる」レベルじゃなくていい。でも、最低限の報連相と、クレームを受け流せるメンタルは必要。
現実的な収入ライン(地域差・経験差)
ここで、実際の収入について、もっと具体的に話す。
1年目(未経験):年収300万〜380万
東京近郊の中小企業なら、月給22万〜27万くらい。資格手当が月5,000円〜1万円つくことが多い。
残業代は出る会社と出ない会社がある。俺の会社は出るから、月20時間残業すると、手取りで23万くらいになる。
地方だと、月給20万前後が相場。年収で言うと300万いかないこともある。
3年目(一人前):年収380万〜480万
このくらいになると、一人で現場を回せるようになって、昇給する。
俺は今年収420万だけど、同期で頑張ってる奴は450万くらいもらってる。複数の資格を取ったり、リーダーになったりすると、もう少し上がる。
ベテラン(10年以上):年収500万〜650万
会社にもよるけど、10年選手で500万〜600万が普通。
独立してない雇われだと、600万超えるのは難しい。役職に就いて管理職になれば別だけど、ポストは限られてる。
独立した場合:年収600万〜1000万(ピンキリ)
独立すると、稼げる人と稼げない人の差が激しい。
仕事をコンスタントに取れる人は、年収800万〜1000万いく。でも、営業が苦手で仕事が取れないと、年収400万以下になることもある。
独立のリスクは、仕事が安定しないこと。大手のメンテナンス会社に価格で負けることも多いし、人脈がないと厳しい。
都市部と地方の差
正直、都市部の方が給料は高い。東京・大阪・名古屋なら、未経験でも年収350万は狙える。
地方だと、年収300万切ることもザラ。ただ、生活費が安いから、手取りで考えると都市部とそこまで変わらないかもしれない。
副業の可能性
土日に個人で点検の仕事を受けてる人もいる。1件2万〜3万くらいで、月に4件やれば月8万の副収入。
ただし、会社によっては副業禁止のところもあるし、個人で仕事を取るには人脈と信用が必要。
未経験から取るなら、現実的なルート
「じゃあ、実際に消防設備士を取るには、どうすればいいのか」って話をする。
受験資格と実務要件
甲種の受験資格は、類によって違う。
- 甲種4類:学歴不問・実務経験不要で受験できる
- 甲種1・2・3・5類:乙種を持ってるか、電気工事士などの関連資格が必要
だから、未経験ならまず甲種4類を取るのがセオリー。これを取れば、他の甲種も受験できるようになる。
乙種は全部、学歴不問・実務経験不要で受験できる。ただ、乙種だけだと工事ができないから、転職では弱い。
勉強期間の目安
甲種4類は、ゼロから勉強して3〜6ヶ月が目安。
俺は平日2時間、休日4時間勉強して、5ヶ月で合格した。試験は筆記(四択・記述)と実技(鑑別・製図)がある。
正直、電気の知識がゼロだと苦戦する。オームの法則とか、交流・直流の違いとか、基礎から勉強しないといけない。
俺は高校で物理を取ってたから、まだマシだった。文系出身の同僚は、1年かかったって言ってた。
働きながら取れるか
結論、取れる。
試験は年2回(3月・10月前後)で、平日の昼間に実施される。だから、有給を1日取る必要がある。
勉強は、通勤時間やスキマ時間を使えば、働きながらでも十分できる。
ただし、仕事が忙しすぎると、勉強時間が取れなくて挫折する。俺は前職の営業時代に一度受けて落ちて、転職してから再挑戦して受かった。
費用はどれくらいか
受験料は、甲種で5,000円くらい。
テキストと問題集で5,000円〜1万円。
スクールに通うなら、5万〜10万くらい。俺は独学だったから、トータル1.5万円で済んだ。
「それでも取るなら」後悔しない戦略
ここまで読んで、「それでも消防設備士を取りたい」と思ったなら、後悔しないための戦略を伝える。
取る順番
まず甲種4類を取る。これが一番需要が高くて、受験資格も緩い。
次に甲種1類(スプリンクラー) か 甲種5類(避難設備) を取る。この2つは需要が高くて、資格手当も増える。
余裕があれば、電気工事士(第二種) も取る。消防設備と電気工事はセットで仕事が来るから、両方できると強い。
組み合わせると強い資格
消防設備士だけだと、仕事の幅が限られる。以下の資格と組み合わせると、市場価値が上がる。
- 電気工事士(第二種):配線工事ができるようになる。独立するなら必須。
- 建築物環境衛生管理技術者(ビル管):ビルメンテナンス全般に対応できる。
- 危険物取扱者(乙4):消防設備と親和性が高い。資格手当が増える。
俺は今、電気工事士を勉強してる。これがあれば、独立も視野に入る。
就職・転職での使い方
資格を取ったら、転職サイトよりも業界特化の転職エージェントを使った方がいい。
俺は、設備業界に強いエージェントに登録して、未経験OKの会社を紹介してもらった。自分で探すより、効率的だった。
面接では、「なぜ消防設備士を取ろうと思ったのか」「前職の経験をどう活かすか」を具体的に話す。
俺は営業経験があったから、「顧客折衝のスキルを、現場での対応に活かせます」ってアピールした。これが評価されて、内定をもらえた。
独立を視野に入れるなら
独立するなら、最低でも5年は現場経験を積むこと。
いきなり独立しても、仕事の取り方が分からないし、技術も未熟だから、トラブルになる。
俺の知り合いで、3年目で独立した人がいるけど、最初の1年は仕事がほとんど取れなくて、バイトしながら食いつないでた。
独立するなら、現場経験を積んで、人脈を作って、資金を貯めてから。焦らない方がいい。
まとめ:消防設備士は「魔法の資格」じゃない、でも武器にはなる
ここまで読んでくれて、ありがとう。
最後に、俺が3年間この仕事をやってきて、正直に思うことを書く。
消防設備士は、魔法の資格じゃない。
取っただけで年収が倍になるわけでもないし、楽して稼げるわけでもない。体力仕事だし、現場は地味だし、給料もそこまで高くない。
でも、武器にはなる。
業務独占資格だから、需要は安定してる。未経験でも転職しやすいし、複数の資格を組み合わせれば、市場価値は上がる。独立の道もある。
「それでも取るか?」は、あなた次第。
もしあなたが、以下に当てはまるなら、取る価値はあると思う。
- 体力に自信がある(少なくとも、肉体労働に抵抗がない)
- 資格を武器に、手に職をつけたい
- 将来的に独立も視野に入れている
- 勉強を続ける覚悟がある
逆に、以下に当てはまるなら、正直やめた方がいい。
- デスクワーク中心で、楽に稼ぎたい
- 体力仕事は絶対にやりたくない
- 資格さえ取れば、あとは何もしなくていいと思ってる
資格を取らない選択肢も、全然アリ。
無理して取って、後悔するくらいなら、別の道を探した方がいい。消防設備士じゃなくても、稼げる仕事はいくらでもある。
ただ、もし「よし、やってみるか」と思ったなら、覚悟を決めて挑戦してほしい。
俺も最初は不安だったけど、今は「取ってよかった」と思ってる。完璧じゃないけど、食えてるし、スキルも身についた。
コメント