「海技士、取れば食えるって聞いたけど、未経験でもいけるの?」 「船乗りの仕事ってきついイメージあるけど、実際どうなんだろう…」 「30代・40代から目指すのって現実的?」
この記事にたどり着いたってことは、あなたもそんな不安を抱えてるんじゃないだろうか。
俺も最初はそうだった。26歳の時、フリーターから海技士を目指して、今は内航船で航海士やってる。周りには元トラック運転手、元工場勤務、元営業と、色んな経歴の人がいる。未経験から海技士になった人間は、正直めちゃくちゃ多い。
でも、ここで綺麗事は言わない。
海技士は確かに稼げる資格だし、需要もある。でも「取れば人生バラ色」みたいな話じゃない。むしろ、想像以上にきつい部分もあるし、向き不向きがハッキリ分かれる仕事だ。
資格スクールのサイトには「将来性抜群!」「高収入!」って書いてあるけど、現場のリアルはもっと複雑だ。この記事では、未経験から海技士を目指すなら知っておくべき「本当のところ」を、包み隠さず書いていく。
読み終わる頃には、「自分がこの世界でやっていけるか」の判断材料が揃ってるはずだ。
海技士の現場、未経験者が直面する「想定外」のリアル
まず最初に言っておく。海技士の仕事は、陸上の仕事とは根本的に違う。
船上生活という特殊環境
俺が一番きついと感じたのは、最初の3ヶ月の船上生活だった。
内航船の場合、基本的に2週間〜1ヶ月は船に乗りっぱなし。その間、陸には降りられない。家族とは電話だけ。風呂は共同。部屋は狭い。プライベート空間なんてほぼゼロ。
同僚の田中(仮名・元営業職)は、「こんなの聞いてなかった」って3日目で泣いてた。彼は2航海で辞めた。船酔いじゃなく、閉塞感に耐えられなかったんだ。
外航船ならもっと長い。半年とか、下手したら1年近く日本に帰れないケースもある。未経験者がイメージする「海のロマン」とは、だいぶ違う。
実務は資格の勉強と全然違う
海技士の試験勉強では、航海計算とか海図とか、理論的なことを学ぶ。でも実際の現場では、そういう知識だけじゃ全く通用しない。
ロープワーク、荷役作業、錆落とし、ペンキ塗り。泥臭い肉体労働が8割だ。特に最初の数年は、デッキで汗だくになって働く時間の方が長い。
俺の先輩(元教師)は、「資格取ったら航海士として優雅に操船できると思ってた」って言ってた。現実は、真夏の甲板で錆びたチェーンと格闘する日々。彼は「こんなはずじゃなかった」って何度も愚痴ってたけど、3年経った今は慣れて笑ってる。
人間関係が逃げ場なし
船は密室だ。嫌な上司がいても、苦手な同僚がいても、逃げられない。24時間一緒。食事も風呂も仕事も、全部同じメンバー。
陸上なら、仕事終わったら家に帰って一人になれる。でも船上は違う。オフの時間も同じ空間。この環境に耐えられるかどうかが、未経験者にとって最初の関門だ。
俺が知ってる限り、未経験で海技士になった人の3割は、1年以内に辞めてる。理由の大半は「船上生活に馴染めない」だ。給料とか仕事内容じゃなく、生活環境がきつくて脱落する。
よくある勘違い:海技士=即高収入ではない
ここからは、未経験者がよく持ってる誤解について話す。
資格取ったらすぐ高給取り?→嘘
よく「海技士は年収600万〜800万」みたいな情報を見るけど、それはベテランの話だ。
未経験で海技士の資格を取って、最初から高給がもらえるわけじゃない。むしろ最初の1〜2年は、思ったより安い。
俺の初任給は手取りで月18万くらいだった。「えっ、資格持ちなのに?」って思ったけど、それが現実。船会社は「未経験=使えない」と判断する。資格があっても、実務経験がないと評価されない。
同期の佐藤(仮名)は、「資格取れば即独立して高収入」って夢見てたけど、現実を知ってガックリきてた。海技士で独立するなんて、何十年もキャリア積んだベテランでもハードルが高い。
資格さえあれば就職余裕?→半分本当、半分嘘
確かに、海技士は人手不足だ。特に内航船は深刻で、どこも人材を欲しがってる。でも、「誰でもウェルカム」ではない。
船会社が欲しいのは、「すぐ使える人」だ。資格だけ持ってて実務経験ゼロの40代とかだと、正直厳しい。体力的な問題もあるし、船のルールや文化に馴染めるかも見られる。
知り合いの山本(仮名・45歳で海技士取得)は、資格取ってから就職先探しに半年かかった。年齢と未経験のダブルパンチで、10社以上落ちたらしい。最終的には内航の小さな会社に拾ってもらったけど、想像してたより大変だったって言ってる。
きつい=肉体労働だけじゃない
「海の仕事はきつい」って聞くと、肉体労働を想像するだろう。それも正しいけど、それだけじゃない。
精神的なきつさの方がデカい。
24時間体制の当直勤務。夜中の2時に起きて見張り。眠い目をこすりながら4時間立ちっぱなし。これを何日も繰り返す。睡眠リズムが崩れて、体調管理が本当に難しい。
あと、天候が悪い時の恐怖。台風シーズンとか、マジで生きた心地がしない。船が揺れて、立ってるのも困難。船酔いで動けなくなる人もいる。
俺の後輩(元IT系)は、「肉体労働は覚悟してたけど、台風の中での航海は想定外だった」って言ってた。彼は今も続けてるけど、「慣れても怖いものは怖い」らしい。
この資格が「稼げる人」と「稼げない人」の決定的な違い
海技士で成功する人と、挫折する人。その違いは、意外とシンプルだ。
稼げる人の特徴
1. 孤独に強い人
船上生活は孤独だ。家族や友人と会えない期間が長い。趣味も限られる。この環境を「自由だ」「気楽だ」と感じられる人は強い。
俺の先輩の一人は、「陸にいると人間関係が面倒くさい。船の方が楽」って言ってる。こういうタイプは、長く続けられる。
2. 体力に自信がある人
きれいごと抜きで、体力は必須。30代後半以降でも、体力があれば全然やっていける。実際、50代60代で現役の人もいる。でも、若くても体力がないと、最初の数年で潰れる。
3. お金のために割り切れる人
「海が好き」「船が好き」って人より、「給料のため」って割り切ってる人の方が長続きする傾向がある。
変な話だけど、ロマンを求めすぎると、現実とのギャップで辛くなる。「これは仕事。お金を稼ぐ手段」って割り切れる人の方が、精神的に楽だ。
稼げない(続かない)人の特徴
1. コミュニケーション能力が極端に低い人
「人と関わりたくないから船に乗る」って考えの人、たまにいる。でも、それは大きな勘違いだ。
船は狭いコミュニティ。むしろ陸上より、密な人間関係が求められる。協調性がないと、すぐに浮く。浮いた人間は、仕事もやりづらくなるし、最悪いじめに遭う。
2. 家族との時間を最優先する人
子どもの成長を見たい、毎日家族と夕食を囲みたい。そういう価値観の人には、海技士は向いてない。
知り合いの鈴木(仮名)は、子どもが生まれて3ヶ月で辞めた。「子どもの初めての言葉も、初めての一歩も、全部見逃した。耐えられなかった」って。
3. 短期間で結果を求める人
海技士で稼げるようになるのは、早くても3〜5年後だ。1年目から高収入なんて、まずない。この「我慢の期間」に耐えられない人は、途中で挫折する。
現実的な収入ライン:夢と現実のギャップ
ぶっちゃけた話、海技士の年収ってどのくらいなのか。
1年目:月18万〜25万(手取り)
未経験で海技士になった場合、最初はこのくらい。ボーナス入れても、年収300万〜350万ってとこだ。
「え、そんなもん?」って思うかもしれない。でも、これが現実。船会社も、最初は様子見。実務経験ゼロの人間を、いきなり高給で雇う余裕はない。
ただし、寮費とか食費が会社持ちの場合が多いから、実質的な生活費はかなり抑えられる。船に乗ってる間は、お金を使う場所もないし、貯金はしやすい。
3年目:月30万〜40万(手取り)
実務経験が3年くらい積めると、だいぶ給料が上がる。年収で言うと、450万〜550万くらい。
この辺から「海技士、悪くないな」って実感できる。陸上の同年代より、明らかに稼げるようになる。
5年以上・ベテラン:月40万〜60万(手取り)
5年以上のキャリアがあって、上級海技士の資格も持ってると、年収600万〜800万は現実的なラインになる。
船長クラスになれば、年収1000万超えも夢じゃない。ただし、ここまで到達するには、最低でも10年以上のキャリアが必要だ。
地方と都市部の差
内航船の場合、給料は会社によって結構バラつきがある。大手の船会社なら安定してるけど、中小だと厳しいことも。
外航船は基本的に給料高め。でも、海外に長期間行くから、生活スタイルが全然違う。
副業・独立の可能性
正直、海技士で副業とか独立って、かなりハードルが高い。
船に乗ってる間は、副業どころじゃない。陸に上がってる期間(オフ期間)は短いし、その間は休養に充てたい。
独立して船を持つなんて、億単位の資金が必要。現実的じゃない。ごく一部のベテランが、小型船でガイド業やってるくらいだ。
未経験から海技士になる現実的なルート
「じゃあ、実際どうやって海技士になるの?」って話をする。
受験資格と実務要件
海技士には、航海・機関・通信・電子通信の4種類がある。一般的には航海か機関。
級ごとに受験資格が違うけど、未経験者がまず目指すのは「四級海技士(航海)」か「四級海技士(機関)」だ。
受験資格を得る方法:
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海技教育機構の養成課程(6ヶ月)
- 未経験者向け。座学3ヶ月+乗船実習3ヶ月。
- 年齢制限あり(概ね40歳まで)。
- 費用は約150万円。
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海上技術短期大学校(2年)
- 高卒以上。本格的に学びたい人向け。
- 年齢制限厳しめ(20代前半が中心)。
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海上技術学校(高校相当・3年)
- 中卒で入学。若い人向け。
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実務経験ルート
- 船員として一定期間働いてから受験資格を得る。
- かなり時間がかかる(数年単位)。
未経験の社会人が現実的に選べるのは、1番の養成課程だ。
勉強期間の目安
養成課程の場合、6ヶ月間は仕事を辞めて通う必要がある。働きながらは無理。
座学の内容は、航海学、運用学、法規、英語など。正直、そこまで難しくない。真面目にやれば、ほぼ全員合格できるレベル。
問題は、乗船実習の方だ。ここで「船上生活、無理だわ」ってなる人が一定数いる。
費用の現実
養成課程の受講料:約150万円 生活費(6ヶ月分):約60万円(寮費・食費込み) 合計:約210万円
決して安くない。でも、教育訓練給付金が使えるケースもあるし、船会社によっては費用を負担してくれるところもある。
年齢の壁
正直、30代までなら全然チャンスある。40代になると、厳しくなってくる。
養成課程の年齢制限もあるし、就職先も限られてくる。体力的にも、若い方が有利なのは間違いない。
でも、「40代だから絶対無理」ってわけじゃない。俺の知り合いで、42歳で海技士になって、今でもバリバリ働いてる人もいる。ただ、ハードルは高いってことは覚悟しておいた方がいい。
「それでも取るなら」後悔しない戦略
ここまで読んで、「それでも海技士に挑戦したい」って思うなら、賢い取り方がある。
取る順番
まずは四級海技士(航海)
これが基本。ここからスタートして、実務経験を積みながら三級、二級と上げていく。
機関の方が需要あるって話もあるけど、航海の方が汎用性は高い。どっちが良いかは、自分の興味と適性次第。
組み合わせると強い資格
小型船舶操縦士免許
これ持ってると、幅が広がる。漁業とか観光船とか、選択肢が増える。費用も安いし(10万円前後)、取っておいて損はない。
危険物取扱者(乙種4類)
船で燃料を扱うことも多いから、持ってると重宝される。難易度も低いし、コスパいい。
無線従事者免許
船舶には必須。海技士と併せて取る人が多い。
就職・転職での使い方
未経験なら内航船から
外航船は給料高いけど、未経験者をいきなり雇ってくれるケースは少ない。まずは内航船で経験を積むのが王道。
小さい会社も視野に
大手にこだわると、門戸が狭い。中小の船会社なら、未経験でも拾ってくれる確率が高い。
タイミングは春か秋
船会社の求人は、春(4月)と秋(10月)が多い。この時期を狙って就活するのが効率的。
実務経験を最優先で考える
資格は所詮、スタートラインに立つための切符でしかない。
本当に大事なのは、実務経験。どれだけ現場で揉まれたか。どれだけトラブルを乗り越えたか。それが評価される世界だ。
だから、最初の数年は、給料が安くても、とにかく経験を積むことを優先した方がいい。そこで得たスキルが、後々のキャリアを左右する。
まとめ:海技士は魔法の資格じゃない。でも武器にはなる
ここまで、かなり厳しい現実も含めて話してきた。
海技士は、確かに稼げる資格だ。需要もある。人手不足だから、仕事にも困りにくい。
でも、「取れば人生逆転」みたいな魔法の資格じゃない。
未経験から始めるなら、最初の数年はきつい。給料も安い。船上生活に馴染めなくて辞める人も多い。体力的にも精神的にも、タフさが求められる。
それでも、この資格を取る価値があると俺が思う理由は、こうだ。
- 手に職がつく。一度実務経験積めば、どこでもやっていける。
- 歳を取っても働ける。60代70代の現役もいる。
- 貯金しやすい。船上では金を使わないから、貯まる。
- 世間の景気に左右されにくい。物流は止まらない。
でも、向いてない人が無理して取っても、続かない。
こんな人には向いてない:
- 家族との時間を何より大切にしたい人
- 閉鎖空間が苦手な人
- 短期間で結果を求める人
- 体力に自信がない人
こんな人には向いてる:
- 一人の時間が好きな人
- 体力に自信がある人
- お金のために割り切れる人
- 陸上の人間関係に疲れた人
最終的には、あなた自身が判断するしかない。
「未経験だからきつい」のは、どの仕事でも同じだ。でも、海技士の場合、そのきつさが「特殊」なんだ。船上生活という環境に適応できるかどうか。それが全てと言ってもいい。
もし少しでも興味があるなら、まずは船員の人に話を聞いてみるといい。港に行けば、結構気さくに話してくれる人もいる。あるいは、短期のアルバイトで船に乗ってみるのもアリだ。
実際に体験してみて、「これ、イケるかも」と思えたなら、挑戦する価値はある。
逆に、「無理だわ」と感じたなら、他の選択肢を探せばいい。海技士だけが人生じゃない。
俺自身、今の仕事には満足してる。きついけど、稼げてるし、貯金もできてる。でも、万人に勧められる仕事かって言われたら、正直そうじゃない。
この記事が、あなたの判断材料の一つになれば嬉しい。
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